水温変化が牡蠣の養殖に与える影響

牡蠣の養殖にとって欠かせない要素の1つである水温

養殖牡蠣の生育に重要な条件として、適した場所や洗浄度、植物プランクトンの多さなどが挙げられますが、それと同じくらい大事な条件が水温なのです。

水温の変化は牡蠣の生理機能に大きな影響を与えます。今回の記事では、水温の変化が牡蠣の養殖に与える影響を述べていきたいと思います。

 

牡蠣養殖の自然条件

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日本一の養殖牡蠣生産量を誇るのは広島県です。広島で牡蠣の養殖が盛んになったのは、瀬戸内海が牡蠣養殖にとって理想的な自然条件を満たしていたからでしょう。瀬戸内海は島々に囲まれており、波が穏やかです。そのため、筏が壊れにくく、安全に設置できます。波が穏やかではないと、筏が揺れて育てた牡蠣が海底に落ちてしまうのです。この点、広島湾は島や岬に囲まれ、風、波、潮の流れに非常に影響を受けにくいのです。

また、瀬戸内海の海水温の変化も牡蠣の成長にマッチしています。ちょうどいい感じに夏には水温が上がり、秋にはまた水温が下がります。夏の上昇した水温が産卵に刺激を与え、秋になって20度以下に下がった水温が牡蠣の身入りを良くするのです。瀬戸内海の年間を通しての海水温の変化は牡蠣の産卵、成長のリズムにぴったりであり、牡蠣にとっては最適な環境なのです。

このように牡蠣の養殖は自然的な条件が揃ってこそ初めて可能になります。中でも、海水温の変化は牡蠣にとって重要な要素であり、適切な水温変化があってこそ良質な牡蠣の早期出荷ができるのです。

 

夏の高水温が牡蠣に与える影響

先ほども述べたように海水温の変化は牡蠣の生理機能に大きな影響を及ぼします。夏に上昇した水温が牡蠣の産卵に刺激を与え、秋の水温低下がグリコーゲンの蓄積をすすめ、牡蠣の身入りを良くします。これによって旨味が増すといわれています。

しかし、夏に海水温が上昇しすぎてしまう日々が続くと、牡蠣の収穫にも影響を与え、最悪牡蠣はへい死してしまいます。一般的には水温が30度を超えると牡蠣がへい死してしまう恐れがあるといわれます。実際に宮城県の松島湾では、2012年には厳しい残暑が原因で高水温となったために、大量の牡蠣がへい死してしまうという事態が起きました。約7割の牡蠣が死んでしまったそうです。また松島湾では牡蠣棚の移動ができないため、たとえ高水温を確認しても対策が練れず、覚悟を決めるしかないそうです。これは牡蠣養殖が抱える問題の一つではないでしょうか。

 

水温管理のデータ化がすすむ?

何事もデータ化がすすんでいるこの時代。牡蠣養殖も例外ではありません。

NTTドコモが2016年3月から、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県東松島市の牡蠣、海苔の養殖漁場で、ICTを活用した実証実験をスタートしました。これは、漁場に通信機能やセンサーを搭載したICTブイを設置し、漁業従事者がスマートフォンやタブレットから専用アプリを介して、牡蠣、海苔の生産量に大きな影響を及ぼす「水温管理」が実現できるというものです。水温をデータで管理することによって、採苗、育成、収穫と適切な時期に行うことができます。

NTTドコモは震災直後から東北復興支援を積極的に行っており、今回のこの実験もその一環であるということです。いずれにせよ、この実験が品質の向上と生産性の向上につながれば、今後もさまざまな養殖場で取り入れられていくでしょう。科学技術の進歩に伴い、牡蠣の養殖がもう一段階進化する日も近いのではないでしょうか。

牡蠣の養殖において水温よりも重要な条件

これまで述べてきたように、海水温の変化は牡蠣の育成に大きな影響を及ぼす重要な条件であり、適切な水温で養殖することによって牡蠣の生産量、品質は向上します。しかし、牡蠣の養殖には水温以上に大事ともいえる条件が存在するのです。

まず、海水の洗浄度です。特に生食用の牡蠣の場合はノロウイルスなどのウイルスを除菌するためにも非常に重要になってきます。海水が綺麗すぎると牡蠣の餌となるプランクトンも少なくなり、牡蠣の成長も遅くなってしまいますが、やはりある程度綺麗な海水でないと雑菌が入り混じり食べたときにあたってしまいます。品質管理を徹底するためにも洗浄度は大事な条件なのです。

次に、植物プランクトンの多さが挙げられます。牡蠣は海中の植物プランクトンを餌として摂取し成長していきます。川から湾へと流れ込んでくる淡水には、植物プランクトンを増殖させる窒素やリンなどの栄養塩が多く含まれています。なので、多くの河川が流れ込んでくる湾は牡蠣の養殖にとても適しています。

これらの条件を満たして、なおかつ牡蠣の成長に合った水温変化が起きる場所が牡蠣を養殖するのに適切な場所であるといえます。

 

まとめ

海水温の変化は牡蠣の養殖にとって大きな影響を及ぼします。特に、夏の海水温の上昇には気をつけなければなりません。夏に上昇した水温は牡蠣の産卵に刺激を与えてくれますが、上昇しすぎたままの状態が何日も続くと牡蠣が死んでしまう可能性があるので注意が必要です。

また、水温の変化と同じく牡蠣の養殖にとって大事なのが、海水の洗浄度と植物プランクトンの多さです。ある程度きれいな海水で、多くの川が流れ込んできて植物プランクトンが豊富にあるという場所が理想的な牡蠣養殖場です。

このように、牡蠣の養殖にはさまざまな自然条件と人工的な条件が必要になってくるのです。

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