牡蠣養殖の主流、いかだ式とは?

日本における牡蠣の養殖の始まりは、室町時代も後期であるといわれています。実に約500年近くの歴史があるのです。

500年の年月の間に、牡蠣の養殖は進化を続け、1950年頃に現在主流となっている養殖方法「いかだ式垂下養殖方法」にたどり着きました。

今回は、この「いかだ式垂下養殖方法」にたどり着くまでの経緯、いかだ式の特徴、メリット、また今後いかだ式を超える養殖方法は出てくるのかといったことについてくわしく述べていきます!

 

日本の牡蠣養殖の歴史

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大正13年発行の「草津案内」という文献には、「天文年間(1532年~1555年)安芸国において養殖の法を発明せり」と記されています。これが現在見つかっている最も古い牡蠣の養殖についての記述であり、安芸国という現在の広島県にあたるところで牡蠣の養殖が始まったとされています。

当時の養殖方法は「石蒔(いしまき)養殖方法」といって、干潟に小石を並べてその小石に牡蠣を付着させ、成育を待ってから収穫をするという非常にシンプルな養殖方法でした。その後、江戸時代の中期に差し掛かる時期に「ひび建て養殖方法」が発明されます。これは雑木や竹などを干潟に突き付けて、牡蠣を付着させて育成させる方法であり、この「ひび建て養殖方法」は昭和時代の初期まで約300年間もの間使われてきました。

その後昭和のはじめごろには、「垂下式養殖方法」が発明されます。この「垂下式養殖方法」が日本の牡蠣養殖業を変えました。非常に効率的に牡蠣を養殖できるようになり、管理面と漁場利用面でも今までのやり方よりはるかに優れていました。当初は、干潟に130cmくらいの高さの棚を作り、貝殻と竹の管を交互に通した紐をぶら下げて育成する「杭打垂下方法」という簡易的な垂下法が行われていましたが、1950年頃になると、現在の養殖方法である「いかだ式垂下養殖方法」が発明され、徐々に日本各地に浸透していきました。

 

いかだ式とは?

この「いかだ式垂下養殖方法」ですが、文字通りいかだを使って養殖します。まず牡蠣の放卵時期である7月頃に、ホタテの貝殻をロープにつるして海中に沈め、海を浮遊する牡蠣の稚貝を付着させていきます。牡蠣の幼生は傍にあるものにくっつくという習性があるので、これを利用してホタテの貝殻に付着させるのです。その後牡蠣の稚貝を付着させたホタテの貝殻を浅瀬に設けた抑制棚に移し、抑制と通し替えをし成長した牡蠣を沖合の牡蠣いかだに吊るしていきます。このいかだに吊るされながら牡蠣は餌となる植物プランクトンを吸収し、2~3年間過ごします。そして10月から11月になると収穫が始まり、収穫された牡蠣は殻についたヘドロ等を洗い流し、大きさを選別され減菌させる水槽へ一昼夜入れます。それから打ち娘さんによってむき身になり(殻付き牡蠣は殻のまま)、出荷されていくのです。

いかだ式」が開発された背景には、戦後干潟の大半が埋め立てられてしまったという事情がありました。これまでの養殖方法はすべて干潟を使って行われてきましたが、干潟が使えなくなったことによりこのいかだを使った養殖方法が発明されたのです。しかし、「いかだ式」が発明されたことによりさらに効率的な収穫が可能になり、より大きくふっくらとした身を持つ牡蠣が取れるようになりました。

今後の牡蠣養殖業

日本で「いかだ式垂下養殖方法」が開発されてから約50年がたちました。これからも日本の牡蠣養殖業はこのいかだ式をベースにやっていくのでしょうか?それともさまざまな技術が目に見えないほどのスピードで発達していく現代、また新たな養殖方法が発明されていくのでしょうか?

現在、「あたらない」牡蠣を開発しようと「ガンボ&オイスターバー」などの店舗を経営するヒューマンウェブ社は牡蠣の陸上養殖に取り組んでいます。沖縄県の久米島に研究施設を設立し、海洋深層水を利用したウイルスフリーの牡蠣を生産しようと研究しています。牡蠣はおいしく栄養価も高いことで知られますが、同時に食中毒やノロウイルスといった問題も多く、牡蠣にあたって体調を崩す方もいます。もちろんこれは牡蠣だけの問題ではなく、体調管理なども影響してきますが、もしウイルスフリーの絶対にあたらない牡蠣が作れたら牡蠣の需要はさらに増えていきますよね。さらに陸上養殖が可能になれば季節を問わず大量生産することができます。もしもこの研究が成功すれば、牡蠣の養殖業もまた新たな時代に突入するかもしれません。

また生牡蠣を愛する文化がある美食の国フランスでは、クペルと呼ばれる種牡蠣を付着させる機械や、剥がした種牡蠣をでサイズ別に分けられる水中選別機など多くの機械を利用した養殖が行われています。日本ではむき身の牡蠣が多く流通していますが、フランスをはじめとする欧米の国々では殻付き牡蠣の流通が一般的です。日本でも年々ブランド牡蠣の需要と価値が高まってきており、殻付き牡蠣の流通が今後高まっていくようなら海外の養殖方法を積極的に導入していく牡蠣業者も増えていくことでしょう。

 

まとめ

日本の牡蠣養殖は長い歴史がありますが、現在主流となっている「いかだ式垂下養殖方法」が発明されてからより牡蠣が身近に感じられる国になっていきました。

干潟が使えなくなったことから、いかだを使った養殖法が生み出されましたが、結果的にこれが牡蠣養殖を大きく進歩させるきっかけになったのです。また今後も機械を導入した養殖方法や陸上養殖など、いかだ式に取って代わる牡蠣の養殖法が生み出される可能性も高く、牡蠣の養殖業から目が離せません。

「海のミルク」と呼ばれ多くの人々を虜にしている牡蠣。現在これらの牡蠣のほとんどが養殖で作られています。みなさんもこれから牡蠣の養殖業に注目してみてください!

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