広島の牡蠣養殖の歴史

牡蠣は昔から愛されてきた歴史のある食用の貝類です。牡蠣は約2億95千万年前に始まるペルム紀から存在しました。その後生息範囲を広げ、現在では浅い海を中心に極地を除き全世界に分布しています。

古代ローマ帝国では、あの英雄カエサルが重宝した食材として知られ、すでに牡蠣の養殖が行われていました。日本でも縄文時代の貝塚から牡蠣殻が発見されており、すでにその時代には食用として親しまれていました。日本で牡蠣養殖が始まったのは室町時代の後期であり、安芸国(当時の広島県)で始まりました。

牡蠣の養殖が最初に行われた広島は、今でも日本の国内総生産の6割以上を占め、牡蠣の県として抜群の知名度を誇ります。今回はそんな広島の牡蠣養殖の歴史を辿っていきたいと思います!

 

450年の歴史を誇る広島の牡蠣

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広島で牡蠣の養殖が始まったのは16世紀半ば、つまり室町時代の後期であるとされています。大正13年発行の「草津案内」に記されてあり、これが現在見つかっている中で牡蠣養殖にまつわる最も古い記述です。その当時は、「石蒔(いしまき)養殖法」といって、干潟に小石を並べてその小石に牡蠣を付着させ、成育を待ってから収穫をするという簡易的な養殖方法がとられていました。

それから月日が経ち、延宝年間(1673年~1680年)に広島草津の小林五郎左衛門という人が、「ひび建て養殖法」を発明しました。これは雑木や竹などを干潟に突き付けて牡蠣を付着させて育成させる方法であり、その後約300年にも渡って続けられてきました。1950年頃に現在の養殖方法である「いかだ式垂下養殖法」が発明されました。この養殖方法が発明されてから牡蠣の生産量は急激に増加し、現在に至ります。

最初の「石蒔養殖法」から450年の歴史を経て現在に至るわけですが、いつの時代も日本の牡蠣養殖の中心は広島であり、新しい養殖方法が発明されるのもつねに広島県でした。このように日本の牡蠣養殖の歴史を語る上で広島は欠かせない場所なのです。

 

 

広島で牡蠣養殖が盛んな理由

前述の通り広島は450年もの牡蠣養殖の歴史を誇り、牡蠣は県の魚としても登録されているわけですが、なぜ広島では昔から牡蠣の養殖が盛んに行われてきたのでしょうか?

その理由として広島湾の穏やかな地形が挙げられます。牡蠣養殖に使ういかだはとても重たく、舵を誤れば牡蠣が流されてしまうこともあります。広島湾は数々の島に囲まれていて、潮流や風波が落ち着いているため養殖用のいかだが非常に設置しやすいのです。また広島湾には市内から5本の川が流れこんできており、山から大量のミネラルが運ばれてきます。これによって牡蠣の餌である植物プランクトンが豊富に増殖できるのです。そのほかにも、広島の海は牡蠣の生理機能に理想的な水温変化が行われていることも挙げられます。夏の上昇した水温が産卵に刺激を与え、秋になって20度以下に下がった水温がグリコーゲンの蓄積によって牡蠣の身入りを良くするのです。広島の海の海水温の変化はこうした牡蠣の産卵、成長にぴったりなのです。

広島は日本全国、いや世界の中でも最も牡蠣の養殖に適した場所なのです。広島で牡蠣の養殖が盛んになるのは必然と言え、これだけの歴史があるのも理に適っているのです。

 

牡蠣といえば広島

このように牡蠣の歴史を辿っていくと必ず広島に行き着くわけですが、現在も日本で牡蠣といったら広島の名が真っ先に挙がることでしょう。なぜなら、生産量、消費量ともに2位以下に大差をつけてぶっちぎりの1位だからです。

特に養殖牡蠣の生産量では実に日本全国の生産量の60%以上を誇っています。また広島で養殖されている牡蠣はほとんどがむき身になり加熱用として出荷されるため、日本の市場に出回っている加熱用の牡蠣はそのほとんどが広島産であるといえるでしょう。広島の牡蠣は昔から他県に販売され、延宝時代(1670年代)には「かき船」による輸送が始まり、大阪の人々に広島の牡蠣を提供していました。このように牡蠣の流通の面から見ても最も歴史があるのは広島なのです。

牡蠣の年間消費量を見ても1位は広島県であり、養殖だけでなく需要もあることが分かります。広島の人は昔から牡蠣が大好きなんですね。

広島の牡蠣養殖における今後の課題

日本の牡蠣養殖で常にトップをひた走る広島ですが、そんな広島にも牡蠣養殖業の課題はあります。それは、圧倒的な生産量に比べてブランド力が低いことです。

近年日本でも生牡蠣の需要が高まり、多くの産地がブランド牡蠣を出荷しています。有名どころでは北海道の厚岸や宮城県の三陸が挙げられますね。一方広島ではほとんどがむき身で出荷されるため、殻付き牡蠣の生産が少なく、これといったブランド牡蠣がなかったのです。こういった背景からどうしての質より量というイメージが広がっていってしまったのです。

しかし、最近では海外で主流となっているシングルシード方式で養殖をはじめる業者も増えてきており、広島でも殻付き牡蠣の生産が増えてきています。このシングルシード方式で育てられた「かき小町」は高い評価を受けています。広島から多くのブランド牡蠣が出回るようになったら質、量ともに牡蠣といったら広島といわれる時代がくるでしょう。

 

まとめ

広島は450年以上もの牡蠣養殖の歴史があり、常に日本の牡蠣養殖業界をリードしてきました。牡蠣養殖の歴史を辿っていくと、必ず広島にいきつくのです。また広島県民は昔からみんな牡蠣が大好きで、牡蠣の消費量でも常に日本一をキープしてきました。

ただそんな広島も殻付き牡蠣の生産が少なく、ブランド力が低いという問題を抱えています。この問題を解決し、広島から質の高いブランド牡蠣が世に多く送りだされるようになったら広島はあらゆる牡蠣の分野で日本一の称号を総なめにすることでしょう。

こちらの記事では広島に次ぐ牡蠣生産量を誇る宮城の牡蠣養殖について紹介しています⇒宮城県の牡蠣養殖

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